■初夏の尾瀬を巡る(1)

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■6月19日(水) 晴れ 18546歩
 先週尾瀬ヶ原を歩き,豊作が予想されたワタスゲがそれほどではないと予想した。その上,相変わらず足の不安も抱えていたのでキスゲのシーズンまで暫く尾瀬に向かうことはないだろうと思っていたが,温かくなってきたからなのか,足の痛みは前ほどでは無くなってきたし,前回見送った尾瀬沼や燧裏林道のワタスゲが良さそうだという情報を耳にして,そちらにも是非足を伸ばしたいと思っていた。

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【レンゲツツジは今年も少なめでしたが,尾瀬沼付近でも咲き始めました。】

 梅雨入りは例年よりも1週間以上遅れていただが,週末にはいよいよ本来の梅雨空に戻るようだ。その前に数日だけ天気が良い日があったので,その日に長蔵小屋の予約をした。この時期はミズバショウシーズンも終える頃なので,かなり余裕があるようだ。長蔵小屋も個室料金は値上げとなり,経費節約のため相部屋にしたが,カーテンで仕切られた2段ベットの部屋なので他の利用者をそれほど気にせずに済むのはありがたい。

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【初夏の日差しが眩しく暑いので森の中に入るとホッとします】

 家を午前5時に出発。東北自動車道経由で御池に着いたのは8時30分頃。久しぶりの御池駐車場だが,30台程度の車が駐まっているだけでゆったりした時間が流れていた。ゆっくりすることもなく,ワタスゲの多いという燧裏林道の上田代・横田代に向かう。御池田代では,新緑の湿原や樹林帯に混じって咲き出したレンゲツツジのオレンジ色が鮮やかだった。林内に入るとゴゼンタチバナやスダヤクシュ等の白く小さな花が咲き出していた。

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【燧裏林道は,今年は尾瀬のどの地区よりもワタスゲが比較的多く見られた年でした。】

 まず最初の湿原は姫田代。尾瀬ヶ原よりもワタスゲは多めで湿原の奥にはごそっとまとまって咲いているところもある。ワクワクしながら辿り着いた上田代のワタスゲの果穂は多く,尾瀬ヶ原とは比べものにならなかった。今朝まで降り続いた雨でややしっとりはしているが,緑の湿原の中で残雪の平ヶ岳をバックに風に揺られる様子は,清々しい初夏らしい光景だった。

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【熊沢田代付近の様子。燧ヶ岳の残雪も残り僅か。】

 さらに,横田代に進むとさらに密度は増し,久しぶりに尾瀬でワタスゲの群落を見ることができた。確かに約10年前の大江湿原のワタスゲとは比べようもないが,今年の燧裏林道に関しては,間違いなくワタスゲは豊作である。空撮ではこの様子は伝わらないので,何とかその密集ぶりを伝えようと,地上から高さやアングルを変えて何枚も撮影した。その後は,雲もほとんど消えた青い空にドローンを向かわせ,余り撮影機会のない燧ヶ岳の中腹に散らばる湿原を撮影対象にしてじっくりと撮影した。

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【イワカガミ】

 昼頃迄には御池に戻ろうと思っていたので,軽く食事を済ませてから上田代を後にする。気温はそれほど高いとは言えないが,日差しは強く,やはり森の中を歩くのは心地良い。車に戻り,改めて宿泊に必要な荷物を持ってシャトルバスに乗り込む。乗車券を買ってバスに乗り込むと5分と待たずに発車した。乗客は4名程度。横田代までのトレッキングでちょっと汗をかいたので窓を開けると,心地良い初夏の涼しい風が車内に流れ込んだ。

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【ハクサンチドリ】

 鳩待峠のような賑わいもなく,沼山峠はひっそりとしていた。バスがエンジンを切ると聞こえるのは小鳥の声だけである。沼山峠の休憩所の周りには珍しく雪の塊があった。除雪した雪の名残のようだ。直ぐに峠への道を登り,沼山峠展望台からドローンを飛ばす。ここからだと大江湿原や尾瀬沼東岸までが見渡せるので,空撮にはお誂え向きの場所である。雲も風もほとんどなく絵的には余り面白みがないが,新緑に包まれた大江湿原の様子を一通り撮影して,長蔵小屋に向かう。

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【ノビネチドリ】

 大江湿原の出口付近では数名の方がシカ柵を設置していた。今年も雪どけが異常に早く,その分ニッコウキスゲの生育も早かったためシカ柵を設置する前に,シカに食べられてしまったキスゲもかなりあるという。その原因を作ったのは人間ではあるが,人間の都合で自然や生き物は動いてくれない・・・。久しぶりの大江湿原。年によってはミネザクラが咲いていてもおかしくない時期ではあるが,今年はワタスゲが既に見頃を迎えていた,しかし,やはりここも尾瀬ヶ原同様,その数は圧倒的に少なかった。ドローンのバッテリーを早めに充電しておこうという思いもあり,早々に長蔵小屋にチェックインする。

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【森内のあちこちで見られました。ゴゼンタチバナ。】

 この日の宿泊客は,全部で20名程度。雲も全くなく撮影する気持ちにもなれないので,早々に風呂に入り夕食をとる。夕食後は特にすることもないのでカメラを持って小屋の周りをウロウロする。暫く待っても上空にはほとんど雲も現れず,夕焼けもなかったので小屋に戻って早めに休んだ。食事の時の缶酎ハイがよい睡眠薬となって直ぐに眠ってしまった。
*空撮にあたっては,DIPS2.0での各種登録,関係機関への連絡・調整済みです。

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【尾瀬沼畔にて】

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