■錦秋の尾瀬を歩く(2)

10月18日(土) 曇り時々晴れ 21390歩  昨日の宿泊客は20名ほどの団体客と登山客が5名だ。この団体客の一部が至仏山登山を目指すために朝5時に出発するということで,朝早くから準備するために部屋の前を行き来していたので,起きようと思っていた頃には自然に目が覚めた。その前に一度起きて空の様子を確認に行った時は,風は強かったが上空は満天の星が煌めいていた。しかし,この風が収まらないことには霜がおりることはないだろうな・・・。 【東の空から西の空まで茜色に染める朝焼けでした】  この時間になっても夜半に吹いていた強い風が収まることはなく,その上,一面の雲が上空を覆い条件的にはかなり良くないようだったが,貴重な朝の撮影のチャンスである。取り敢えず前夜に用意した荷物だけ持って小屋を後にする。すると東の空の一部の雲の切れ間から朝の光が漏れ出し,尾瀬ヶ原を薄く覆っていた雲を赤く赤く染め上げ始めた。徐々に空の隙間は多くなり,いい具合に残っていた雲がだんだん広範囲にわたって茜色に染まっていく。始めは燧ヶ岳付近だけであったが,それが景鶴山付近,そして至仏山へと伸び,空一面がバラ色の雲に覆われた。急いでカメラを替え,レンズを替え,ここが今日の一番の撮影ポイントと思い,慌ただしく撮影する。あっという間にその夢のような時間は終焉を迎えた。その間,僅か1~2分。本当に一期一会。貴重な瞬間に立ち会うことが出来た。その後は,雲が優勢となり,どんよりとした曇り空となってしまったので,小屋に戻ってゆっくり…

続きを読む

■錦秋の尾瀬を歩く(1)

■10月17日(金) 快晴 21905歩  昨年は3回,そして,今年は未だにゼロ。尾瀬に向かう回数は年々減り,悲しいかな所謂「尾瀬病」は自然治癒に向かいつつあるようだ。尾瀬の情報が気になって,天気予報とにらめっこをして急いで荷物を詰め込んでは,深夜に家を飛び出していた頃が懐かしい。寄る年波と共に体のあちこちのメンテナンスが必要になり,その為に残雪豊富な今年の尾瀬を見送ったのが始まりで,その後もなかなかタイミングが合わず,尾瀬のことは頭の片隅に追いやられ,時間ばかりがどんどん過ぎた。  記録的な猛暑は今年も健在,というか年々厳しさを増し,そこで生きる全ての動植物に大きな影響を与えている。今年もその余韻が残り,尾瀬の紅葉の見頃は後ろにずれ込んだ。今までは,10月10日の体育の日前後が日光や尾瀬の紅葉の見頃というのが通例だったが,今はもう通用しない。それに合わせ,3連休後の入山を計画した。  この調子だと,年間尾瀬入山日数ゼロという記録を作りかねないと気を揉んでいたが,なんとか山小屋の営業中に,今年初の尾瀬入山が実現できそうだ。実は,一週間ほど前に,尾瀬入山を目論んだものの悪天のため,尾瀬に立ち寄ることなく鎌田の道の駅で写真集の納品を済ませて帰宅することがあったので,今回は,どんな悪天でも尾瀬の紅葉を楽しむつもりで向かおうと強く心に決めていた。 【透過光越しに見るもみじの紅葉は特に鮮やかで綺麗です】  尾瀬周辺の紅葉狩りの渋滞を懸念して早めに家を出たからなのか,それほど多く…

続きを読む

■秋風に誘われて・・・(3)

■10月16日(水) 晴れのち曇り 17053歩  トイレに起きた時に外の天気を確認するのはいつものルーティンだが,今回はそれさえする必要もないだろうと部屋に戻り,ウトウトするものの早めに目が覚めた。 5時に起き出して,雨が降っていなければ朝食までの時間,龍宮十字路辺りの撮影をしようとカメラ一つで,サンダルを突っかけて小屋を出てビックリ。なんと雲はほとんどなく,それどころか東の空に浮かぶ雲が僅かに茜色に色付いている。しかも,待ち望んだ朝靄もたっぷり出ていた。「こりゃぁ,絶好の撮影日和・・・」大急ぎで撮影機材を部屋に取りに戻った。 【朝靄の上空にはモルゲンロートに包まれた至仏山が聳えていました。】  そして,龍宮十字路付近のベンチに荷物を下ろし,そこを起点にあちこち撮影を始める。龍宮小屋のいいところは撮影ポイントが近くにあるために移動まで時間をとられないことだ。直ぐに準備を済ませ,空撮も始めた。朝靄に覆われぼんやりとしか見えなかった朝焼けも,ドローンを飛ばして上空から見るとキャンバスとなる雲が少ないのがちょっと物足りないが,燧ヶ岳や至仏山の上空の雲をピンク色に染め上げる綺麗なモルゲンロートが見られた。 【朝靄に包まれた尾瀬ヶ原の様子です】  やがて,朝靄の上にも朝の光が届けられ,徐々に零れた光が湿原に射し込むようになると紅葉した樹木をより一層鮮やかに際立たせる。あちこち上空を飛び回り,紅葉の山々と朝靄の織りなす錦絵巻を動画で静止画で思う存分撮影した。地上の…

続きを読む

■秋風に誘われて・・・(2)

■10月15日(火) 曇りのち晴れ 26345歩  長蔵小屋は宿泊料金を少しでも安く上げようと相部屋にしたが,カーテンで仕切られた昔ながらの部屋で,ある程度プライバシーが確保できるのは助かる。同室の人に余り気を遣わずぐっすり休む事ができた。深夜に一度,外を確認するが,雲に覆われて星もほとんど見えない。今朝はゆっくり朝食をとるパター^ンかなと思いつつ再びの眠りにつく。5時頃に目が覚めた。食事の時間までまだ時間があるので,天候は相変わらず好転しないし,朝靄も全く出ていないけれど,撮影機材を準備して元長蔵小屋横のベンチに向かう。 【尾瀬沼に浮かぶ水草もすっかり秋色に染まっています】  既に2名ほどが三脚を立てていた。一人は巻島さんだった。星の撮影をしたくて早起きをしてそのまま戻っていないということだった。日の出が近くなるにつれ,大江湿原の上空を行き交う雲や燧ヶ岳の山頂を隠し続ける雲が僅かに茜色に染まった。時間を確認すると,既に朝食時間となっていたので,適当な時間で撮影を切り上げ小屋に戻った。 【水面に浮かぶ水草が強い日差しを受けて輝きます】  それほど遅れることなく,朝食の席に着き温かい食事にありついた。冷えた朝弁当のおにぎりとは比べようもない。撮影するものもそれほどあるわけでもないいし,何より天候がパッとしない。予報では日中は晴れるはずだが,ひょっとしたらこのままぐずついたままかも・・・。帰ろうかなと言う気持ちもまた芽生えたが,間もなく尾瀬のシーズンも終わるし…

続きを読む

■緑色の風に乗って(2)

■6月6日(木) 晴れ時々くもり 28474歩  早々に寝てしまったため暗いうちに何度も目が覚め明け方近くになってようやく眠れたので不覚にも寝過ごした。窓の外は相当明るい。バタバタと撮影機材だけを持ってヨッピ橋に向かう。幸い,昨日あんなに痛かった足首も痛みが治まり今朝は頗る調子がいい。 【振り返るとドローンの影を中心にブロッケンや白く大きな虹が見える】  カメラザックを担いで外に出ると,周囲は願ってもない深い朝靄に包まれていた。これなら,朝靄の上空からの幻想的な光景が撮影できそうだ。ライブカメラで上空の様子を確認することはできないが,朝靄の所々薄くなっている場所から時々茜色に染まる雲や青空やモルゲンロートに染まる至仏山が見えた。急いでドローンを飛ばしたいと気持ちは焦るが,やはり電波の状態が良いヨッピ橋付近のベンチ付近まで急がなくては・・・。 【上空ではすっかり青空が広がっていますが,この時,尾瀬ヶ原は深い朝靄の中でした。】  この時期なら,イモリ池周辺から撮影すれば燧ヶ岳の山頂付近から太陽が昇るダイヤモンド燧ヶ岳が撮影できると期待していたが,辺り一面,濃い朝靄に覆われ,暫く晴れそうにないため諦めざるを得なかった。その分,空撮に集中,集中。少し高度を上げただけで,直ぐに朝靄の上に飛び出す。ほぼ快晴の空の下に広がる朝靄は尾瀬ヶ原全体をすっぽりと包み込んでいた。そしてその彼方には,朝日を受けた至仏山が赤く染まっていた。 【徐々に薄くなってきた朝靄から太…

続きを読む