梅雨明けの尾瀬を歩く【1】

【久しぶりに尾瀬ヶ原で見るスケールの大きい夕焼け】 7月18日(日)(晴れのち曇り,雨のち晴れ) コロナ禍による規制や自粛要請,オリンピックの無観客での開催など暗いニュースばかりが続く毎日。閉塞感で息も詰まりそうになり,暫くぶりに尾瀬の空気を吸いたくなった。新種のウィルスへの対応に右往左往する人間を尻目に,季節は確実に移ろい,鬱陶しい梅雨も明けた。ネットに溢れる情報では,今年のニッコウキスゲはあまり期待できないようではあるが,気分転換には行くしかない・・・ 【横田代全景】 睡眠時間もほとんど取れないまま早朝に出発。鳩待峠に着いたのは9時頃となった。梅雨明け後の好天とキスゲのシーズンとあって最近の尾瀬に比べて入山者は明らかに増えている。相変わらずコロナ罹患者は多いのだが,ワクチン接種も進み,人の移動も活発になっていると感じた。 【夏雲を映すアヤメ平の池塘と燧ヶ岳】 好天で風も少ないのでドローンを飛ばしていると,突然,安類さんが目の前に。お約束の飛行許可を得ているかどうかの確認だという。 至仏山は入山規制解除後,間もないとあってかなり混雑しているようである。キスゲはそれほど期待できないので,今回はまず,アヤメ平に向かう。 【アヤメ平の池塘群と至仏山】 ここ数日,それほど雨が降っていないせいか登山道がぬかるんでいたり,木道が滑りやすくなっていたりすることもないのは嬉しい。強烈な日差しを遮ることの出来る樹林帯歩きは心地良い。ただこの日は,湿度は…

続きを読む

新雪眩しきアヤメ平

【モルゲンロートに染まるアヤメ平の崖】 先週,新雪のアヤメ平を歩いてきた時の様子を簡単にまとめましたのでご覧ください。 11月12日(木) 快晴 11月も半ばを過ぎ,尾瀬では雪の降る日もその量も日増しに増え,文字通り「遙かな尾瀬」になろうとしている。降雪と雪解けを何度かくり返し,やがて真冬の眠りにつく・・・。しかし,尾瀬が雪に閉ざされ眠りにつく僅かな間隙を縫って尾瀬に会いに行ける年もある。純白の雪に覆われたその姿は凜として気高く神々しい。訪れるどの季節よりも間違いなく美しい。そんな神秘的な初冬の尾瀬を垣間見る事ができるのが,アヤメ平である。 【上空から眺めたモルゲンロートに染まる初冬のアヤメ平】 前日に車を走らせ道の駅で仮眠後,車で富士見下へ。ここの積雪はわずかだが,富士見峠は30cmぐらいはあるだろうか。物音一つしない真っ暗な道をいつ現れるか分からない熊の幻影に怯えながら,ただひたすら距離を稼ぐ。轍もすぐになくなり,目の前に延びる道の先にあるのは,降り積もったフワフワの新雪とそこに付けられた小動物の足跡だけだ。高度が上がるとだんだん雪が深くなるが,流石にここまでくれば熊が来ることはないだろう・・・。 【一部見える尾瀬ヶ原も結構積雪しているようです】 アヤメ平の直下に着く頃にはヘッドライトは必要なくなっていた。気温は-5℃。新雪は20~30cm。時間的にそろそろ陽が昇る頃だ。そこで寒さに耐え,暫く待った。やがて,アヤメ平の崖が淡いピンク色に染まり始…

続きを読む

新雪のアヤメ平

【今回撮影した空撮動画のダイジェスト版です】  真冬並みの寒気が押し寄せ,尾瀬周辺もすっかり雪景色になったとのニュースを聞き,11月22日新雪に覆われたアヤメ平に向かいました。  前夜に自宅を出発して,ヘッドライトをつけて富士見下から歩き始めます。歩き始めは5cm程度ですが,踏み跡は一切なく,あるのはシカやクマ,ウサギなどの小動物の足跡のみです。降ったばかりのフカフカのパウダースノーの上を歩くのは最高の気分でした。 [今回の最高到達地点。天候が急激に悪化してきたのでここで引き返しました。] [さらさらな雪の表面。よく見ると小さな結晶がいっぱい・・・]  出かける時間がやや遅かったこともあり,日の出には間に合いませんでしたが,そこは当初の予定通り空撮でカバーしました。 ドローンが素晴らしい光景を見せてくれました。その画像を含めて紹介します。 【空撮に当たっては関係諸機関に連絡し,許可取得済みです】 [尾瀬の雪景色はやはり秀逸。その中でも朝日に染まる光景は何度見ても神々しいです。] [朝陽を浴びたアヤメ平と至仏山。] [尾瀬ヶ原もやっと白い雪に覆われました。] [新雪を纏った燧が岳にも清々しい朝が訪れます。] [富士見小屋や富士見田代も眼下に見えます。] [まるで粉砂糖を振りまいたような風景です。もう既に尾瀬はクリスマスモード。] [少しと桁行が際結氷し,落ち葉を閉じ込めます。]

続きを読む

草紅葉輝く尾瀬を巡る【1】

【草紅葉最盛期のアヤメ平の上空からの眺めです】 [空撮に当たり関係諸機関に連絡し,各種法令遵守の上,許可を得て撮影しています] オフ会の時もいつになく遅いヤマドリゼンマイの黄葉の進み具合が気になっていたが,高い気温の影響か紅葉の進み具合が全体的に遅れているようだ。それでも9月も終盤となり,朝晩かなり涼しくなってきたので,尾瀬の風に誘われ出かけることにした。 【綺麗なマユミの実が鈴なりになっていました。】 秋雨前線も消え,移動性高気圧によってもたらされた久しぶりの晴天。渋滞とは縁遠い朝の道を快調に走り,鳩待峠に着いた時は午前9時を回っていた。絶好の行楽日和なのだが,平日とあって入山者はかなり少なめだ。中学生らしい20人ほどのグループが,尾瀬ヶ原に向け出発したあとは,秋風が木々を揺らす音だけが微かに響く鳩待峠の時間がそこにあった。 【アヤメ平の草紅葉は今が最高潮。上空の雲も秋らしいです。】 尾瀬ヶ原よりも高度もあって,より紅葉が進んでいると思われるアヤメ平を経由して尾瀬ヶ原に向かうことにした。行き交う人もほとんどいない静かな登山道をいつものペースで歩き始める。森の中に鏤められたツタウルシの赤や色づき始めたモミジやブナの黄などの葉,珍しいキノコを見つけては嬉しくなる。しかし,いつもの年と比較すると紅葉の進み具合はかなり遅れている感じだ。ふと見つけた秋をスナップ程度に写してみると,見た目以上に鮮やかな色付きにハッとさせられる。 【アヤメの崖の紅葉はちょ…

続きを読む

12月のアヤメ平から

【生まれたての光に包まれるアヤメ平】 12月2日。日帰りでしたが,色々撮影できて満足できる2018年の「ラスト尾瀬」となりました。 その時の様子をいつものように日記風にまとめました。 12月2日[快晴] 新雪が降った上,快晴が予想されるこれ以上ないくらいの初冬のアヤメ日和・・・ にもかかわらず拠ん所ない事情により見送らざるを得ない状況に置かれた所に,尾瀬仲間のアヤメ平からの眩い画像が届く。前回の尾瀬が「ラスト尾瀬」のつもりでいたが,チャンスがあるなら,行ける時に行っておこうと気持ちが揺れる。週末は晴れの予報か・・・しかも,その直前まで雪が降るようだ。新雪たっぷりのアヤメ平が呼んでいた。 【三日月の光に照らされる富士見池。新雪が淡い光に輝いていました。】 「まだ行けるかも」と出しっ放しになっていたリュックに最小限の荷物を詰め,前夜に出かけた。 金精峠を越えると道路は真っ白。願ってもない状況だ。あとは日の出前に天気が回復するかどうかだ。富士見下には全くと言っていいほど雪は積もっていない。歩き出すにはありがたい・・・。 【夜明け前のアヤメ平。東の色が徐々に茜色に染まっていきます。】 先週アヤメ平に向かった尾瀬仲間か,先行者のトレースを期待したが,目の前に広がるのは一面の新雪。代わりに道案内するかのように付けられたウサギや小動物の足跡が多数。所々にシカが落ち葉を掘り返したような所もある。積雪は,富士見小屋付近でもこの時期としては驚くほど少なく15~2…

続きを読む